事例研究|「日本唯一」を謳う広告の見方と注意点

今回は広告の事例研究編♪
消費者と事業者の両方に向けて書いています。


あなたが消費者なら商品を買うときの参考に、事業者なら広告作りの参考になると幸いです。


You Tube広告で「おっ!」と思ったCMがありましたので例に挙げてみましたよ。



事例は、医薬部外品のハミガキ剤ですㅤ



広告では「日本で唯一の有効成分配合」というセリフと共に、画面に大きな文字で「日本唯一」という表示が目に止まりました。


「唯一」と聞くと「なになに?」と興味がわきませんか?訴求力の強いワードだと個人的には思っています。

この事例の良かったところ3つ



➀インパクトの強いワードを表現しつつ、上手に薬機法と景表法に対応している。


②ウィットを効かせたコピーが面白い。


③消費者が商品を選ぶときによくある行動を見せて共感を上手に呼んでいる。


上の➀~③をおさえながら、消費者が広告を見る際のポイントと事業者が広告を作る際の注意点などをまとめました。

広告の内容



広告の冒頭ではハミガキ剤選びに迷っている女性が登場します。商品棚の前でどれを買おうか悩んだ末に、「結局選ぶのはいつも使っているハミガキ」というシーン。


あなたも店頭でそのような経験はないですか?


私は大アリです(笑)。


つまり、ハミガキ選びに悩んでいる消費者の「あるある行動」で「共感」を呼び、「自分事」として認識させています。これは「さすが!」と思いました☆


そして、そのシーンの直後に商品紹介役のキレイな俳優さんが登場します。


セリフは、


「ちょっと待って!ハミガキ選びはココに注目!歯垢を分解できる酵素入りか、それ以外か」


でした。


「酵素入りか、それ以外か」は、
「オレか、オレ以外か」の名言で知られるㅤ
カリスマホストのロー〇〇ドさんの言葉をモチーフに作られています。


ロー〇〇ドさんを知っている人だけに響くネタになってしまうかもしれませんが、私にとっては面白さ倍増でした。


ここで、私が気になったことがあります。
このセリフが「他社誹謗」に繋がらないか、です。


「酵素入りかそれ以外か」と言い切ってしまうと、酵素入りのハミガキ剤は、他社の入っていないものと比べて優れていると誤解を招く可能性があります。他社誹謗や他社比較は医薬品等適正広告基準と景品表示法で制限されていますから、言い過ぎには注意が必要です。


ブランドサイトを確認しましたが、上記のような表現は見当たらず、酵素の特徴と商品について詳しく書かれているのみでした。動画中のセリフのみにとどまる工夫がみられます。


「唯一」に話を戻しますね(^^)


ご存じの方も多いと思いますが、「唯一」を謳うにはそれなりの根拠が必要です。景表法を知っている方ならよく理解していますよね?


そこで、何が「唯一」なのか、広告をよーく見てみました。


「日本唯一」の隣に小さく存在する「※」印に注目です。


「※」には「〇〇酵素のこと。研磨剤販売実績として(2022年〇月当社調べ)」と書いてありました。


つまり、配合されている酵素は調査を行った時点で、日本国内において当社以外にはまだ存在しない。だから「日本唯一」なのだ。ということだとわかります。


この「※」注釈に書かれていることが事実であれば「唯一」と謳うことは可能です。


今後もし、行政から確認の調査が入ったとしても客観的で合理的な根拠が認められれば表示は可能ということになります。大手メーカーさんのことですからちゃんと調査はしているとは思いますが、行政から指導があった場合はすみやかに変更しなくてはなりません。


CMって、同じ商品でも表現が変わることはよくありますよね。今回のCMでも今後の動向を見守りたいところです。

まとめ 「唯一」を謳う広告を見る際のポイントと作る側の責任


【消費者は…】
商品を購入するときは「※」注釈をマメにチェック。何を根拠に「唯一」なのかを確認しましょう。


信じるか信じないかはご自身の判断になりますが、「※」を見るクセをつけておくと広告を「見る目」が自然と養われていきます。


虚偽誇大広告に騙されない賢い消費者が増えることで、そのような広告が減っていくことを願っています。


【事業者は…】
注釈には調査の内容と時期を明記し、客観的・合理的根拠にもとづいた事実を表示します。万一行政から注意や指導を受けた場合はすみやかに差し替えるなどの対応を行うようにしましょう。

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(参考)
消費者庁 比較広告
https://bit.ly/3gxbw7u

医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について 薬生監麻発0929第5号
https://bit.ly/3EDLMym
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こんな感じで、今後は消費者向けの記事も書いていきますね。


「こんな広告見かけたけれど、大丈夫?」という消費者の皆様からのご質問大歓迎です!


広告を「見る目」を養って自分をアップデートしませんか?今まで以上に”賢い消費者”を目指しましょう!